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10月24日(火)全学礼拝 シリーズ礼拝―「聖学院120周年を覚えて」―村瀬天出夫先生(賛美歌BGM付)

2023.10.24
文書礼拝

奨励者:村瀬天出夫(欧米文化学科准教授)

新約聖書:マルコによる福音書 第4章30〜32節(新共同訳)P.68

「更に、イエスは言われた。『神の国を何にたとえようか。どのようなたとえで示そうか。それは、からし種のようなものである。土に蒔くときには、地上のどんな種よりも小さいが、蒔くと、成長してどんな野菜よりも大きくなり、葉の陰に空の鳥が巣を作れるほど大きな枝を張る。』」

奨励:シリーズ礼拝 ― 聖学院120周年を覚えて ―「聖学院と『からし種』」

 

 

 私たちの学校法人聖学院は1903年に現在の文京区本郷の地に誕生した神学校から始まり、今年が創立120周年となります。

 

 私は聖学院創立120周年委員会のメンバーとして月に1回駒込キャンパスをおとずれます。また聖学院中高の卒業生で実家が駒込にありますので山の手線駒込駅を利用します。

 駒込駅東口を出てすぐの商店街「さつき通り」には120周年のロゴマークが印刷されたフラッグが沢山掲げられています。そしてそのフラッグの下部には「駒込の地と共に、聖学院は創立120周年」という文字が入っています。

 

 さいたま上尾キャンパスのある宮原駅には、聖学院創立120周年を知らせるロゴマークの入った大きなポスターが掲示されています。そしてそのポスターにはチャペル内部とパイプオルガンの姿が写っています。記念事業として聖学院大学チャペルにパイプオルガンが10月に設置予定ということも書かれています。

 

 このように駒込キャンパス・さいたま上尾キャンパスとも街の人々に聖学院の創立120周年をお知らせしています。地域の皆さまと祝意を共有したいのです。地域を愛する私たちであり、また地域の人々に愛される学院・生徒・学生でありたいのです。

 

 皆さんはキリスト教概論の授業で「聖学院の歴史」を学ばれたのではないかと思いますし、インターネットで学校法人聖学院「歴史特設サイト」にアクセスすると、歴史・沿革、ヒストリアを見ることができます。古い写真も見ることができ楽しいですよ。

(https://www.seig.ac.jp/history/)

 

 さて、初期の学院にはどれくらいの数の生徒がいたのでしょうか? 1905年に築地居留地で始まった女子聖学院は初年度10名、1906年駒込の地で始まった聖学院中学校の初年度の入学者数は1年生と2年生を合わせて17名という少数だったようです。神さまが福音の種・信仰の種を蒔いてくださった小さな学校から始まったのです。

 

 今日の奨励の聖書の箇所は「からし種」のたとえ話です。からし種から、からし粉(マスタード)がとれます。からし種はとっても小さいけれど、地に蒔かれるとどんな野菜より大きくなって鳥が止まるほどになる、と聖書に書かれています。小さいけれど大きな生命力を持っている種なのです。

 

 教文館の『新聖書植物図鑑』(1999年)によると、聖書の舞台であるイスラエルにはアブラナ科の植物がかなり自生していて、3月中旬から4月にかけてのガリラヤ周辺(イエスが活動した土地)はこれらの花で黄色に変わるそうです。

 

 イエスの時代の「からし種」は、クロガラシという品種であると考えられており、イスラエルではかなりの高さにまで成長する1年草です。直径1ミリ弱の小さな種子で日本にも帰化していて、植木鉢に蒔いても1メートル以上の高さになるし、地植えにするとイスラエルほどではないけれど2メートル近くには成長するそうです。1ミリ弱の種が2メートルほどの高さにまでなる! スゴイですね。

 

 開校当時ほんの僅かの生徒たちから始まった学校が大きく成長し、駒込とさいたま上尾キャンパス合わせて2つの幼稚園、1つの小学校、中学校高等学校が2つずつ、そして大学、大学院となったのです。今では卒業生の総数はかなりの数になることでしょう。日本の地に、駒込の地に蒔かれた小さなからし種が大きく育ったのです。

 

 聖学院の諸学校には開校当時の苦労や戦時中の苦難、また現在においてもいろいろな困難な点はありますが、ずっと神さまに守られ、また多くの人々の祈りに支えられてここまで成長してきたのです。

 

 今、聖学院大学で学んでおられる皆さんにも覚えて欲しい。大学は今から35年前にぽっと誕生したのではありません。実に長い聖学院の流れの中で、祈りの中で、生まれたのです。ここで学んでおられる皆さんも聖学院の歴史を紡いでいる一人ひとりだということを。

 また、駒込各校と大学は物理的・距離的に離れていますが、聖学院120周年を通して様々な連携ができると良いなと思っています。

 

 大学では10月末には長年の念願であったパイプオルガンの設置が進んでいます。11月3日・4日のヴェリタス祭ではミニコンサートも開催されます。「楽器の王様」と呼ばれるパイプオルガンです。風をパイプに送り、空気を振動させて音を出す仕組みです。空気を吹き込んでパイプを鳴らす。空気—神さまの息―が吹き込まれるのです。神さまを感じましょう。そしてこのパイプオルガンをとおして地域の方々とも新たな交流ができることを願っております。

 

 最後に讃美歌を1曲ご紹介します。今日の礼拝は文書ですので讃美歌を歌うことができませんが、各自が歌詞を味わいつつ歌ってみてください。

  讃美歌234番 (作詞 由木康氏)

    昔イエスの蒔きたまいし、

    いとも小さき命の種。

    芽生え育ちて、地の果てまで

    その枝を張る樹とはなりぬ。

 

 

祈り

「主イエス・キリストの父なる神さま、あなたの御守りの中で秋学期も始まり、1ヶ月が経とうとしています。聖学院では創立120周年を祝う時となりました。神さまが120年前に種を蒔いてくださいました。そして今、私たち一人ひとりが種を蒔き続けることが求められているのだと思います。私たちの信仰がからし種のように小さくても神さまが育てて成長させてくださることを信じ、日々を過ごしていきたいと思います。この感謝と祈り、主イエス・キリストの御名によってお捧げいたします。アーメン。」