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10月20日(金)全学礼拝 シリーズ礼拝―「聖学院120周年を覚えて」―古谷野亘先生(賛美歌BGM付)
奨励者:古谷野亘(心理福祉学科特任教授)
旧約聖書:詩編 第127編1~2節(新共同訳)P.971
「主御自身が建ててくださるのでなければ
家を建てる人の労苦はむなしい。
主御自身が守ってくださるのでなければ
町を守る人が目覚めているのもむなしい。
朝早く起き、夜おそく休み
焦慮してパンを食べる人よ
それは、むなしいことではないか
主は愛する者に眠りをお与えになるのだから。」
奨励:シリーズ礼拝 ― 聖学院120周年を覚えて ―「建てる人」
私たちは毎日、さまざまな課題に直面し、解決しつつ暮らしています。課題の多くは些細なもので、課題として意識することもなしに乗り越え、忘れてしまいます。しかし中には、解決にかなりの時間と労力、努力を要するものがありますし、どんなに努力しても乗り越えられないことがしばしばあります。
困難な課題を解決し、乗り越えることができれば、誰でもうれしくなります。労を惜しまず努力した自分を褒めたくなるでしょうし、自分の能力を誇りたくもなるでしょう。しかし反対に、うまく行かなければ、自分を責めたくなるかもしれませんし、周囲の人の無理解や非協力を呪いたくなるかもしれません。多くの課題に直面し、解決していく私たちの毎日は、課題解決の成否や達成に一喜一憂し、思い悩むことにもなりがちなのです。
今日の聖書は旧約聖書「詩編」の一節で、巡礼の詩です。巡礼というのは、特別な願いや改悛の念をもって、神聖な地を目指して歩く苦行です。巡礼者たちが、巡礼の途中で歌ったのが巡礼の詩です。
この詩の作者は古代イスラエルの偉大な王ソロモンであるといわれています。彼は神の都エルサレムを築き、そこに壮大な神殿を建てました。現在残っているのは神殿の外壁のごく一部(嘆きの壁)だけですが、その前に立つと、大型バスのような巨石が積み重ねられた威容に圧倒されます。重機などなかった時代にこのような建物を作る努力と労力がいかほどのものであったかは想像を絶します。ソロモンは、父ダビデ王の代には実現できなかった神の都と神殿の造築という課題を、多大な努力と労力をもって達成したのです。
それにもかかわらず彼は、「主御自身が建ててくださるのでなければ/家を建てる人の労苦はむなしい/主御自身が守ってくださるのでなければ/町を守る人が目覚めているのもむなしい」と歌います。そしてさらに、朝起きて働き、食べ物を得るという人間の毎日の営みも、努力も、またむなしいものだと言います。大きな課題の達成も日々の小さな生活の営みも、神の許しと支えがなければ、そもそも成り立ちえないことを彼は確信していたからです。
聖学院は、壮麗なソロモンの神殿とは比べものにならない小さな学び舎です。しかし、これを建て、120年にわたって守るのに、先人たちの多大な努力と労力があったことはいうまでもありません。これを達成できたのは、やはり神の許しと支えがあったからです。この小さな学び舎をこれから守り続けるにも、やはり多くの努力と労力が求められることでしょう。それをなすために、そして私たち自身の日々の暮らしを続けていくために、神の許しと支えがあることを信じます。
祈り
「知恵と光の源である主なる神様、御名を賛美いたします。御名によって建てられた聖学院は、今年創立120周年の記念の年を迎えました。ここに至るまでに与えられたあなたの恵みと導きに感謝いたします。これから後も聖学院と、そこに連なる私たちを守り、励まし、導いてください。救い主イエス・キリストのみ名によってお願いいたします。アーメン。」