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7月25日(火)全学礼拝―春木育美先生(賛美歌BGM付)

2023.07.25
文書礼拝

奨励者:春木育美(政治経済学科教授)

新約聖書:ローマの信徒への手紙 第12章19節(新共同訳)P.292

「愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「『復讐はわたしのすること、わたしが報復する』と主は言われる」と書いてあります。」

奨励:神の怒りに任せなさい

 

 

 10年前、「やられたら、やり返す。倍返しだ!」という台詞が話題となった人気ドラマがありました。主人公は、『半沢直樹』という名前の銀行員です。銀行の内と外の敵に立ち向かい、巨大な組織と格闘していくストーリーで、痛快な復讐劇として高視聴率を獲得しました。続編も制作されており、復讐劇は多くの人に代理満足を抱かせるようです。

 最近は、『罠の戦争』というドラマが大きな話題になりました。草彅剛が扮する国会議員秘書が主人公で、息子が瀕死の重傷を負う事件が起きたことをきっかけに、事件の真相究明と息子の復讐を果たすために奮闘するというストーリーです(2023年1月~3月に放映)。

 権力を振りかざして事件をもみ消そうとした政治家たちがいたことを突き止めた主人公は、復讐のための罠を仕掛けていきます。復讐には「成功」しますが、手段を選ばぬ壮絶な復讐の過程で、主人公は周囲の人物たちから大きな恨みをかうようになります。そして、一転して、今度は自分が「復讐される側」になってしまいます。さらに、自分でも気づかぬうちに、身近な人たちを裏切るような行為や傷つける言動を重ねてしまい、そのために思いがけない報復を受けることになります。

 こうした復讐を描いた話は、復讐を遂げてもあとに残るのは虚しさだけ、幸せにはならない、復讐はまた次の争いを生むといった結末を迎えることも少なくありません。自分の正しさを主張し、自分が信じる正義を貫くことは大切でしょう。人は誰しも、理不尽な目にあったり、自分や大切な家族が傷つけられたりしたら、強い怒りがこみ上げてきます。復讐心に火が付くこともあるでしょう。

 しかし、やられたらやり返すという復讐の連鎖が、さまざまな悲劇や悲惨な事態を招いてきた事例は、世界史を紐解けば明白です。個人のレベルでも「闇落ち」という言葉があるように、復讐に目がくらむと何も見えなくなり、結果的に多くのものを失うことがあります。復讐とは、かように恐ろしいものなのです。

 ですので、復讐を求めるような憤りであるならば、それは神の怒りに任せなさいと言うのです。そう考えなければ、仕返しや復讐の連鎖は断ち切ることのできないものとなり、繰り返されていきます。「復讐」には、罰する、裁く、という意味があります。人を罰し、裁くのは神の領域ともいえます。

 かくも短き人生、人と争い、憎み、怒りに苦しむ時間よりも、人を愛する時間に使いたいものです。

 

 

祈り

「神様、今日も生かしてくださり、愛する人をお与えくださり、ありがとうございます。尊き主イエス・キリストの御名を通して、心よりの感謝を御前にお捧げ申し上げます。アーメン。」