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5月16日(火)全学礼拝—久保哲哉先生(賛美歌BGM付)
奨励者:久保哲哉(聖学院中学校高等学校チャプレン)
旧約聖書:出エジプト記 第3章9~12節(新共同訳)P.97
「見よ、イスラエルの人々の叫び声が、今、わたしのもとに届いた。また、エジプト人が彼らを圧迫する有様を見た。今、行きなさい。わたしはあなたをファラオのもとに遣わす。わが民イスラエルの人々をエジプトから連れ出すのだ。」
モーセは神に言った。「わたしは何者でしょう。どうして、ファラオのもとに行き、しかもイスラエルの人々をエジプトから導き出さねばならないのですか。」
神は言われた。「わたしは必ずあなたと共にいる。このことこそ、わたしがあなたを遣わすしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたたちはこの山で神に仕える。」
奨励:あなたと共にいる神
皆さんは「セルフ・アウェアネス(自己認識)」という言葉を聞いたことはありますか。このセルフ・アウェアネスという言葉は一般企業のキャリア研修などで近年使われているようで、少しググってみると「人生の充実・幸福」や「キャリアにおける成功」のために大切なものと紹介されていました。簡単に説明すると、自分はどのような人間かという自己認識と、自分は人からどう見られているのかという他者からの認識にズレがあることが多いので、この2つを統合するトレーニングをつむことが人生成功の秘訣だ、という論調でした。ただ、これを聞いたときに、これは成功者の思考であり理論だなと感じました。
というのも「自分は一体何者なのか」「自分は他者からどのように見られているのか」と問われても、自分は失敗ばかりしている・・・他者から「迷惑者だ」と思われているに違いない・・・でも自分の力ではどうにもならない・・・と諦めている人はこの理論では元気に生きることはできないとの実感があります。しかし、失敗ばかりで辛さを覚えている私たちを励ます「神の認識」があることを本日は皆さんに紹介したいと願っています。
それではこの神の視点に目を向けるために、本日与えられた聖書箇所に目をむけましょう。本日登場するモーセは、成人する頃まではエジプトで暮らしていましたが、同胞のイスラエル人がエジプト人から迫害されている事実を目にしたときに、その正義感からでしょう。エジプト人を殺害してしまい、エジプト王ファラオから命を狙われ、エジプトから逃げたという過去があります。正義感からだとはいえ、人を殺したわけですから、自己の内面は「罪人」としての意識に苦しんでいたのかもしれません。そのようなモーセに、主なる神はイスラエルの民を奴隷の状態から救い出すという使命を与えます。
そこでモーセは主なる神に言いました。
「私は何者なのでしょう。この私が本当にファラオのもとに行くのですか。私がイスラエルの人々を本当にエジプトから導き出すのですか(出エジプト記3章11節)」
すると、神は言われました。
「私はあなたと共にいる。これが、私があなたを遣わすしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたがたはこの山で神に仕えることになる。(出エジプト記3章12節)」
このやりとりは本当に興味深いのです。モーセの「私は何者ですか?そんな大それたことをできると本当にお思いですか?」という問いに対して、「私はあなたと共にいるから大丈夫だ」「あなたが民をエジプトから導く者だ」と、モーセがイスラエル人を助け出すことを前提に、神はその後のヴィジョンを語るのです。
自分は一体何者なのか。自分は他者からどのように見られているのか。自己評価についても他者からの評価にしても低く、自己を肯定できない私たちです。しかし、私たちの傍らには、厳しくも優しく語りかけてくださる神がおられます。
「私はあなたと共にいる」
だから大丈夫。それぞれの使命を果たすまで、神に導かれていきましょう。ここに人生を元気に生きる秘訣があります。
祈り
「天の父なる神さま、あなたの御名をたたえます。 あなたからの使命を見いだすことが難しいわたしたちです。 力のないわたしたちですから、あなたが助け、励ましを与えてください。 あなたに守られ、祝され、元気づけられて 日々を過ごすことができますように、導いてください。 愛する主、イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。」