お知らせ詳細
Information Detail
4月19日(水)全学礼拝—田村綾子先生(賛美歌BGM付)
奨励者:田村綾子(副学長・心理福祉学部兼人間福祉学部長・心理福祉学科教授)
旧約聖書:レビ記 第19章9~10節(新共同訳)P.192
「穀物を収穫するときは、畑の隅まで刈り尽くしてはならない。収穫後の落ち穂を拾い集めてはならない。ぶどうも、摘み尽くしてはならない。ぶどう畑の落ちた実を拾い集めてはならない。これらは貧しい者や寄留者のために残しておかねばならない。わたしはあなたたちの神、主である。」
奨励:だれかのために
みなさんは、掃除機をかけるときに隅々まできれいにしますか。それとも、まあるくかけて、すみっこは気にしませんか。私は子どもの頃に母から「四角い部屋を丸く掃除してちゃダメよ」とよく叱られたので、この聖書箇所を初めて読んだ時は「あれ?だらしないやり方だな」と不思議に思いました。
けれど、続きを読むと納得します。
「これらは貧しい者や寄留者のために残しておかねばならない。」
もうおわかりですね。収穫後の畑に残っている落ち穂やぶどうの実を拾いに来るだれかのために、取り尽くさず残しておきなさい、ということです。この教えはレビ記の他の箇所にも書かれていますし、ルツ記では、これに従って多めに落としておくよう指示する農場の所有者や、その恵みに感謝して落ち穂を拾い、その日の糧を得る人びとが登場します。
旧約聖書には、生活の風景や現代にも通じる人間模様が描かれ、おもしろい物語がたくさんあります。人びとが気持ちを寄せ合い、支え合って生きる姿や、神さまの教えに従いながら社会秩序が形成されていった、つまり「共同体」の風景を見ることができます。
新学期が始まりました。早く友だちができるといいな、どんな仲間と知り合えるかな、と期待している人もいるでしょう。一方で、新しい環境に慣れるまで緊張や不安は誰にでもあることです。先日、私が精神保健福祉士として担当している「心の健康相談統一ダイヤル」で、休学から復帰したばかりという学生さんの電話相談を受けました。名前も年齢も聞かなかったので、大学生か高校生かもわかりませんが、みんなと一緒に進級できなかったこと、勉強が遅れてしまうことの不安でいっぱい、でも、休学中も学校でのできごとをLINEで知らせてくれる友だちが一人だけいて支えになった、そして、バイト先では自分が頼りにされているから頑張っていると話してくれました。
自分のことを知ってくれて、思いやってくれる人がいることは、勇気や希望をもたらします。この文書礼拝に参加してくださっているみなさんのなかで、元気やゆとりのある人は、周囲でちょっと元気がないとか、心細そうにしている人などにぜひ声をかけてください。この大学も一つの共同体です。自分の居場所を見つけられずにいる人は、周りに助けて、と言ってもいいし、大学の4号館1階には「フィリア」という相談窓口もあります。そして、チャペル礼拝にも足を向けてみてください。神さまは、私たちが弱っているときのことも知っていてくださり、肯定して支えてくださいます。どうか安心して、神さまや周囲の人びとに見守られていることを信頼し、このキャンパスに心地よい居場所や仲間を見つけましょう。私たち教職員はそれをお手伝いし、みなさんを応援(エンカレッジ)したいと考えています。
祈り
「天の父なる神さま、今日も私たちを集めてくださり、礼拝の時に心を合わせることができますことに感謝いたします。コロナ禍という長いトンネルを抜け、キャンパスには明るい声や笑顔が戻り活気にあふれています。けれど、自分らしさをまだ発揮できない人もいるかもしれません。そうした一人ひとりにあなたが寄り沿い、日々配信されるオンライン礼拝やチャペル礼拝を通して私たちに語りかけてください。私たちのこころの隙間や人と人との距離を神さまが埋めてくださり、つながりを強めてください。また、学生エンカレッジセンター窓口「フィリア」を用いて、それぞれを適した場へと導いてください。この短い祈りを、主イエス・キリストの御名を通して御前にお捧げいたします。アーメン。」