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11月17日(木)全学礼拝―伊藤亜矢子先生(賛美歌BGM付)

2022.11.17
オンライン礼拝

奨励者:伊藤亜矢子(心理福祉学科教授)

新約聖書:エフェソの信徒への手紙 第2章14~18節(新共同訳)P.354

「実に、キリストはわたしたちの平和であります。二つのものを一つにし、御自分の肉において敵意という隔ての壁を取り壊し、規則と戒律ずくめの律法を廃棄されました。こうしてキリストは、双方を御自分において一人の新しい人に造り上げて平和を実現し、十字架を通して、両者を一つの体として神と和解させ、十字架によって敵意を滅ぼされました。キリストはおいでになり、遠く離れているあなたがたにも、また、近くにいる人々にも、平和の福音を告げ知らせられました。それで、このキリストによってわたしたち両方の者が一つの霊に結ばれて、御父に近づくことができるのです。」

奨励:「平和のための対話を考える」

 

 

 今夏、ミッション系スクールのある機関誌に、幸田和生先生という方が、冒頭のエフェソの信徒への手紙2章14~18節を挙げて、宗教や国籍の違いを超えた人の兄弟姉妹としての繋がりが、平和への最も確かな貢献であるということを書かれていました。当時は不可能と考えられていた、民族も国も違う人々の壁を乗り越えることを、キリストがなされたと使途パウロが語る一節です。

 臨床心理学が私の専門ですが、臨床家の中にも、こうした壁を越えることをテーマに活動した人が大勢おられます。その一人が、カウンセリングということを始めたカール・ロジャーズという人です。ロジャーズやその活動についてご存知の方も多いのではないでしょうか。

 ロジャーズは、特に晩年、「ピース・プロジェクト」として、エンカウンターグループなどを通じて、人々が理解し合うことで壁を乗り越え、お互いの立場を理解することで、社会的な紛争や国際的な政治的対立などを解決するプロジェクトを積極的に行いました。エンカウンターグループでは、人々が安全な場で、お互いの気持ちを自然に述べ合うことで、自分や他者について気づいていくプロセスです。

 日本でも、ロジャーズの著作はほとんどが翻訳されており、映画化された実際のエンカウンターも翻訳されています。その1つに「鋼鉄のシャッター」という映画があります。アイルランド紛争の渦中に、対立する立場の人たちによるエンカウンターグループを記録したものです。ロジャーズの著作にも引用されていますし、ライスというエンカウンターグループの実現に奔走した人による同名の著書も翻訳出版されています。

 そのエンカウンターでは、紛争で実際に身近な人を殺され、無力感や敵方への憎悪を感じている人たちが、お互いの経験や立場を述べ合う中で、平行線かと思う流れの中で、実はお互いにそっくりな経験をして、その経験が本当に同じような思いをもたらしていると気づき、思いを共有するのです。思いを共有した人達は、お互いを大事な存在と感じ、それまでのような「敵方」への思いとは全く別の思いと関係を体験していきます。

 その後、それぞれの生活に戻った参加者は、それぞれに生きていくわけですが、お互いに理解し合えた経験は、心の中に息づいていったのではないでしょうか。

 人が異なる立場の人と理解し合うことは、小さなことかもしれませんが、現実には大変な難しさも伴います。心の壁を乗り越えること。そうした小さな奇跡が、平和のために多く恵まれることを祈ります。

 

祈り

「私たちの小さな積み重ねが平和への営みとなりますように。主イエスキリストの御名によりて。アーメン。」