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9月27日(火)全学礼拝 シリーズ礼拝 ― 聖書が語る平和 ― 赤田直樹先生(賛美歌BGM付)
奨励者:赤田直樹先生(聖学院みどり幼稚園園長・チャプレン、聖学院教会牧師)
新約聖書:フィリピの信徒への手紙 第4章4~7節(新共同訳)P.366
「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。あなたがたの広い心がすべての人に知られるようになさい。主はすぐ近くにおられます。どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。」
奨励:シリーズ礼拝 ― 聖書が語る平和 ― 「人知を超える神の平和」
皆さんは、「平和」というと、どのようなことを思い浮かべますか? きっと多くの人が、「争いがない」「戦いがない」「戦争の反対」…そういう状態のことを思い浮かべるのではないでしょうか。
日本では、第二次世界大戦の後、77年に渡って、戦争の当事国となることはありませんでした。だからきっと、多くの人たちが「日本は平和な国だ」と思っているかも知れません。
でも、本当にそうでしょうか? 僕には小学校の頃に、いじめに遭った経験があります。その時の僕にとっては、通っている学校も、この国も、この世界も、平和な場所では決してありませんでした。
きっと、そのような思いを抱えているのは僕だけじゃないと思います。いじめだけではないのです。この国の中にも、色々な差別や貧困、搾取や虐待などで苦しんでいる人がいます。また、私たちが安いと思って食べているものや着ているものが、実は外国の人たちの劣悪な労働環境によって成り立っていたということだってあるのです。
だから、「平和」というのは、戦争のような肉体や精神への直接的暴力がない状態だけはなくて、差別や貧困や飢餓など社会の構造的暴力がない状態をも意味します。そう考えてみると、私たちの身近な所で、平和が実現されていないように思うのです。
ところで、平和の実現を阻むものは何でしょうか。直接的にも構造的にも暴力を生み出してしまう原因の一つには、私たち人間の心の在り方があるのではないでしょうか。
聖書は、「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい」と語っています。私たち人間が、個人であれ国家であれ、外部からの刺激に対して反応的になり、「思い煩う」時、政治的にも経済的にも軍事的にも、直接的あるいは構造的な暴力を生み出し、それは負の連鎖となってしまうのではないでしょうか。
この「フィリピの信徒への手紙」を書いた使徒パウロは、「常に喜びなさい」「何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ」なさいと語っています。神さまである主が共にいてくださることに信頼するからこそ、思い煩い反応的に生きるのではなくて、いつも喜び、絶えず祈り、どんなことにも感謝するという生き方を主体的に選択することができるのです。
世界の人口は、2022年の11月には、80億人に達する見込みだそうです。もしも、世界中の80億の人たちが、思い煩い反応的に生きるのはやめて、いつも喜び、絶えず祈り、どんなことにも感謝するという生き方を、主体的に、一斉に選び取ることができるとするならば、世界は一瞬で変わるでしょう。
そんなことは夢物語かも知れません。けれども、もしも「わたし」がそのように生きると決めることができたなら、少なくとも世界の問題の80億分の1は解決できるのだと思います。そしてその実現は、そのように生きる人たちがどれだけ起こされて行くかにかかっていると思うのです。
2000年ほど昔、ひとりの人が立ち上がりました。神の国の到来を伝え、傷付いた人々を癒し、私たちの罪の身代わりとなって十字架で死にました。そして、その人は立ち上がりました。死に打ち勝ち、復活し、永遠の命の希望を示してくれました。そのキリストに従った弟子たち一人ひとりが、「あらゆる人知を超える神の平和」を宣べ伝えてゆき、時間と空間を超えて、今日、あなたのもとへと手渡されているのです。
マザー・テレサの言葉の中に、次のような言葉があります。「平和はほほえみから始まります」。「わたしたちのすることは大海の一滴の水にすぎないかもしれません。でもその一滴の水があつまって大海となるのです」。あなたは、神さまに愛されているかけがえのない存在です。イエスさまが命を懸けて神さまとの平和を与えてくださった程に価値ある存在なのです。だからこそ、思い煩い反応的に生きるのではなく、いつも喜び、絶えず祈り、どんなことにも感謝するという生き方を選び取り、出会う一人ひとりに微笑むことができます。私たちが生きるその場所から、神さまの平和が広がって行きます。聖学院大学に集う一人ひとりは、「神さまの平和の大使」なのです。
祈り
「天の父なる神さま。争い戦いが止まないこの地上において、あらゆる人知を超えるあなたの平和が実現されますように。
あなたの愛のゆえに聖学院大学に招かれた私たちが、思い煩うのではなく、いつも喜び、絶えず祈り、どんなことにも感謝して生きることができますように。
あなたから遣わされて行くそれぞれの場所において、私たち一人ひとりが、あなたの平和の大使として歩むことができますように強めてください。主イエス・キリストの御名によってお祈りします。アーメン。」